クリニックにとって良い人材、悪い人材 ~採用で失敗しないために~
「優秀な人材に長く勤めて欲しい」というお話しはよく聞くのですが。
クリニックにとって良い人材、悪い人材とはどのような人物なのでしょうか。
また、履歴書や採用面接だけで見抜くことはできるのでしょうか。
今回は採用や社内育成などを専門としている長谷川氏にインタビューしました。
【合同会社社外人事部長 長谷川満氏】
社外人事部長としてキャリア採用・育成などをサポートする人事の専門家。
ワールドビジネスサテライトなど各種メディアでも実績を取り上げられる。
【インタビュアー】
黒田めぐみ 医療法人専門の行政書士
もくじ
Q1.クリニックにとって良い人材、悪い人材とは?
クリニックが人材確保にあたって見極めた方が良い適性などがあれば教えてください。
長谷川氏
クリニックの従業員といっても職種はさまざまですが。
共通して重要なことは「コミュニケーションがとれる、とれない」です。
まずは患者さんとのコミュニケーション。
病気で不安な感情に寄り添える、事務的な対応をしない、など基本的なコミュニケーションスキルです。
次に院長や職場のメンバーとしっかりコミュニケーションが取れるか。
院長や他の職員と合わないからと言って感情をむき出しにするような人がクリニックにいると、患者さんにもご迷惑をかけてしまうことになります。
なので、コミュニケーションがとれる、とれないは物凄く重要だと思います。
Q2.良い人材を見分ける方法は?
確かにコミュニケーションがとれる人物が良いとは思うのですが。
短時間の面接で見分けるのは難しいのではないでしょうか。
長谷川氏
例えば面接で次のような指示を出します。
・その場で立ってください
・3回まわってください
・お座りください
指示に素直に従う人は良い人材と言えるでしょう。
指示に対して屈辱を感じたり、嫌々やるような人はプライドが高い傾向にあります。
これによってトップからの指示を素直に行動できるかどうかを見ることができます。
素直に従わない人は業務でも融通が利かない恐れがあります。
「私は絶対に○○時に帰ります」「○○はやりません」と。
また、人は「誰に」指示を出されたかによっても感じ方が違います。
同じ内容でもAさんの指示は素直に聞ける、Bさんの指示は不満を感じるなど。
つまり、「そのクリニックの院長の」指示が聞けるかどうかマッチングもわかると思います。
そうはいっても言われたことだけを素直に聞く「指示待ち」の人物では困ります。
そこで前向きで向上心があるかもあわせて確認した方が良いでしょう。
これは面接に挑むにあたり、事前にHPなどからクリニックの情報収集をしているかどうかで判断できると思います。
Q3.悪い人材を見分ける方法は?
逆に「こんな人物はやめた方が良い」というポイントはありますか?
長谷川氏
ネガティブすぎる人は避けた方がいいです。
「環境が悪い」「○○さんが嫌い」「院長が悪い」という思想に陥ってチームワークを乱す恐れがあるからです。
ネガティブ度を見る方法としては、思考のあぶり出しがあります。
余裕がある時、人は自分をよく見せることができます。
でも、予想外の出来事があると本質がでてきます。
例えば面接で「自己評価して」と履歴書を突き返してみます。
履歴書を突き返されるような面接は想定外なので割と本音がでてきたりします。
「字が汚いですね。。」「転職が多いですね。。」など。
自己評価をさせることによって、ネガティブな思考がどれぐらいあるかわかります。
逆にポジティブすぎる人、自信過剰で自分が見えていない人も要注意です。
そういう人は採用後に「やっぱり違った」と早期離職するケースが多いからです。
ポジティブとネガティブの比率が7:3ぐらいの人物を求めると良いと思います。
Q4.採用後のミスマッチを防ぐには?
良い人材、悪い人材以外にも「そのクリニックに」合う合わないがあると思います。
長谷川氏
人材採用はマーケティングだと私は思います。
まずはペルソナ(求める人物像)を具体的に設定することから始めます。
そうすれば自ずと募集要項も具体的になってきます。
言葉で訴求するだけよりも、写真やブログ、SNS等でクリニックの日常を見せることもお勧めです。
クリニックの雰囲気や社風など、求人者側からも判断しやすいのでミスマッチが防げます。
また、採用目的だけで良い部分のみを見せようとするとメッキがはがれやすいです。
普段からコミュニケーションの取りやすい環境、育成、雰囲気づくりを並行して行うことが重要です。
Q5.良い人材が集まるクリニックとは?
良い人材が集まる、定着するためにクリニック側で意識することはありますか?
長谷川氏
クリニックのトップは院長です。
院長の考えや行動がクリニックの社風になります。
その院長の「言行一致(言葉と行動を一致させる)」が重要です。
スタッフに求めること、つまり良い人材の要件を院長が満たさないと正当性は生まれません。
例えば院長が言葉足らずで「これぐらいわかってくれるだろう」「こんなこともわからないのか」という雰囲気を醸し出すと、スタッフとしては安心感がなくコミュニケーションを取りずらいです。
「何か良いアイデアはない?」と質問したのに頭ごなしに否定されれば、次からそのスタッフはアイデアを出さないでしょう。
このような院長の下では、新規採用をしても順応が難しく、離職率も高くなります。
逆にオープンでコミュニケーションを積極的に取る院長であれば、従業員もコミュニケーションを取りやすいです。
「コミュニケーションを取れるスタッフがいい」「患者に寄り添えるタッフがいい」
まずはトップである院長が自ら率先して求める行動をしているところは、自ずとそのようなスタッフが集まり定着する傾向にあります。
インタビューを終えて
具体的な面接の事例やその根拠など、興味深いお話しを拝聴できました。
「言行一致(言葉と行動を一致させる)」
特にこの言葉は当たり前のようでなかなか難しいかと。
このように長谷川さんは採用後の定着率まで見据えたキャリア採用・育成のサポートをしています。
「優秀な人材が集まらない」そうお悩みの院長先生。
ぜひ長谷川さんと客観的な視点から問題点をピックアップしてみてください。
<取材協力>
合同会社社外人事部長 明星大学非常勤講師
長谷川 満(はせがわ みつる)様
〒105-0001
東京都港区虎ノ門3-22-11豊澄ビル4F
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大学卒業後、大学進学予備校、人材派遣会社、「戦略的目標達成プログラム」に代表される研修会社 アチーブメント株式会社を経て、住宅メンテナンス会社の株式会社バーンリペア(キャンディルグループ)に入社。
人材採用・育成・風土づくりの3つを担う「ヒューマンサポート部(人事部)」をゼロから立ち上げる。
人事部長として、社員数を8年間で52名から513名へ成長させる。型にはまったものではなく、他社ではやっていない数々のプログラムを構築。
その実績が認められ、ワールドビジネスサテライトなど30以上のメディアに取り上げられる。
現在、人事の実務経験を活かし、組織づくりや人材採用、人材育成など人事の体制づくりを行う前に、会社のミッションやビジョン、経営計画、方針などを経営者と構築するビジョナリー・コンサルティングとして深く組織に入り込み、経営者やスタッフの方々に寄り添いながらビジョン実現を行う。